基本的人権

 

 

 

 

 

 

 

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1.基本的人権の種類

基本的人権には主な権利である;自由:権<財産権などを含む>、;平等:権<差別されない権利>、;社会:権<生存権などを含む>がある。また、この人権を守るために存在する;参政:権<投票権を含む>と;請求:権がある。

②自由権

自由権で認められている自由には精神の自由、身体の自由、経済活動の自由がある。
この自由権は公共の;福祉:(みんなの利益)のために権利を制限されることがある。
㋐;精神:の自由 には思想・良心の自由、;信教:の自由、学問の自由がある。
㋑ ;身体:の自由 には黙秘権、住居の不可侵、令状主義がある。
㋒ ;経済:活動の自由には 居住・;移転:・職業選択の自由、財産権がある。

③社会権

㋐社会権で認められている権利には;健康:で;文化:的な最低限度の生活を営む権利である;生存:権、;教育:を受ける権利、勤労の権利である;労働基本:権がある。
㋑労働基本権を守るために労働三権があり、次の3つである。
;団結:権…労働組合を作る権利
団体;交渉:権…労働組合が経営者と話し合う権利
団体;行動:権(争議権)…労働組合がストライキなどを起こす権利

④請求権

基本的人権をまもる権利には参政権と請求権があり、請求権には次の4つがある。
㋐ 国家;賠償:請求権…国や公務員に人権を侵された場合、お金がもらえる権利
㋑刑事;補償:請求権…無罪なのに裁判にかけられた場合、お金がもらえる権利
㋒;裁判:を受ける権利…トラブルが起きた場合、裁判によって解決してもらえる権利
㋓;請願:権…国に対して自分の意見や苦情を言うことができる権利

⑤参政権

参政権には 選挙で投票する;選挙:権、政治家に立候補する権利である;被選挙:権、最高裁判所の裁判官を投票で辞めさせる国民;審査:、憲法改正の国民;投票:、特定の市町村のためだけの法律である;特別:法制定のための住民投票がある。

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2.平等権の詳細

①平等権の根拠

平等権は憲法14条の「すべて国民は、;法:の下に平等であつて、人種、;信条:、性別、社会的身分または;門地:により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない」を根拠とする。

②男女差別関連

国連の女子;差別撤廃:条約を批准したことを受けて、男女;雇用機会:均等法を制定
1999年には男女;共同参画:社会基本法が制定され、労働、家庭、政治などあらゆる面での男女の差別待遇を改善。

③人種差別関連

1995年に国連の人種;差別撤廃:条約を批准し、1997年にアイヌ;文化振興:法を制定。
現在、外国人は国の選挙も;地方:の選挙も行くことができない。
地方公務員では、政治に影響を与えない技術職を中心に採用が増えてきているが、国家公務員としての外国人の;採用:はほとんど行われていない。
在住外国人に対して指紋の押捺を義務付けていたが、この;指紋押捺:制度は1999年に廃止。

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3.自由権に関わる裁判

①精神の自由に関わる裁判

㋐;三菱:樹脂事件・学生時代の社会主義運動を理由に会社の採用を取り消された事件。
企業にも「雇用の自由」があるという理由で、;原告敗訴:。
㋑;津地鎮祭:訴訟・市立体育館工事の安全を願う行事に、市が特定の神社に謝礼金を公金から支払ったことは、信教の自由のに違反するのではないかという訴訟。
宗教活動というほどのものでもないので、合憲判決。
㋒;愛媛玉ぐし料:訴訟・愛媛県知事が県の税金から、靖国神社に玉ぐし料を寄贈したことは、信教の自由に違反するのではないかという訴訟。
県知事の行為に;違憲判決:。
㋓ ;家永:教科書訴訟・日本軍の残虐行為を記述した日本史の教科書が文部省の教科書検定にパスになかったことで起こされた訴訟。
教科書検定は教育内容の統一のために必要なシステムとして合憲判決。

②身体の自由に関わる裁判のルール

 ;一事不再理:は、3回目の裁判で無罪が確定したら、その裁判はもう終わりというルール。
 ;令状主義:とは現行犯をのぞき、日本の警察や;検察官:が、容疑者を逮捕するときには;逮捕令状:、住居の中に入って捜査するときには;捜査令状:が必要な制度。令状を発行できるのは;裁判官:。
 ;遡及処罰:の禁止とは、あとから作られた法律で昔の犯罪を裁いてはダメだというルール。
 

 ③経済活動の自由に関わる裁判

㋐ 薬事法事件・新たに薬局を開設するのに、半径100m以内に2軒以上の薬局を開設してはいけないという;薬事法:の規定は憲法違反ではないかという訴訟。
この規定は、;職業選択:の自由に違反するとして、違憲判決。
㋑ 共有林分割訴訟
・他人と共同所有する森林は自由に売却できないという;森林法:の規定は 憲法違反ではないかという訴訟。
自分の財産を自由に処分できないのは;財産権:の規定に違反するとして、違憲判決。

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4.その他の権利に関わる裁判

①平等権に関わる裁判

㋐尊属殺重罰事件
当時の刑法には、尊属(目上の親族)を殺害した場合のみ刑が重くなるのは、;平等:権に違反するとして、;違憲判決:をうける。
㋑ 衆議院議員定数訴訟
衆議院議員の選挙で、都市部と地方で一票の;格差:がありすぎるのは平等権に違反するとして、裁判の無効を訴える。判決は選挙を無効にまではしない;違憲状態:。

②社会権に関わる裁判

朝日訴訟と;堀木:訴訟
国からの安すぎる生活保護費は、憲法25条の;生存:権に違反するといった訴訟。
この権利は;国:の目標を示しているだけである;プログラム:規定であるとして、;原告:敗訴。

③請求権に関わる裁判

 郵便法事件
・郵便法には、郵便局の配達の遅れによる損失を弁償する義務がないのは、国家;賠償:請求権に違反するとした訴訟。
被害を弁償するのは当然として、郵便法が;違憲:判決。

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5.裁判等により生まれた憲法にはない新しい人権

  ①

;環境:権の根拠は13条の;幸福追求:権と、25条の;生存:権であり、快適な生活を求める権利である。
大阪空港公害訴訟
大阪空港周辺の住民が、基準値をはるかに超える;騒音:に悩まされた。
住民への賠償金は支払われたが、結局、裁判の中でこの権利は認められなかった。

;プライバシー:の権利は第13条の「個人の尊重」が根拠。
『宴のあと』事件
・;三島由紀夫:の小説『宴のあと』が、実在の政治家の私生活を題材にして書かれたものであった。
・個人のプライバシーを侵害しているとして、損害賠償金を支払う。
『石に泳ぐ魚』事件
・;柳美里:の小説『石に泳ぐ魚』が、実在の女性をモデルに書かれていた。
・女性のプライバシーを著しく侵害したとして、裁判所はこの小説の出版停止を通告した。
 ;個人情報:保護法は2003年に制定され、個人情報の不正利用を規制するための法律。

 ③

;知る:権利は憲法21条の「表現の自由」が根拠。
1999年には情報;公開:法が制定され、これにより国民が請求すれば政府の情報を知ることができるようになった。公開される情報は;内閣:に関する情報に限られる。
;アクセス:権は、テレビ局や新聞社などに反論する権利のこと。

憲法では権利を国民に与えるのと同時に国民の義務を定めている。 国民の義務は次の3つ
・ ;納税:の義務
・ ;普通教育:を受けさせる義務
・ ;勤労:の義務<仕事に関する>