1.中小企業問題
2.農業問題
3.消費者問題
1.中小企業問題
①
中小企業は次のように定義されている。
製造業 資本金(3)億円以下 従業員数(300)人以下
小売業 資本金(5000)万円以下 従業員数(50)人以下
②
大企業は日本の企業の約1%に過ぎないのに、日本の売り上げの約(50)%を占めている。大企業と中小企業の間に格差を1957年の経済白書では「日本経済の(二重)構造」と表現した。中小企業の多くは大企業の子会社である(系列)企業や大企業に仕事を回してもらっている(下請)企業である。
③
中小企業を守るために、政府は1963年に(中小企業)基本法を制定した。1973年には大規模(小売店舗)法が制定され、小さな商店を守るために、大型スーパーの出店に一定の規制が設けられた。しかし、2000年には規制が緩められ、大規模(小売店舗設置)法に改正され、大型スーパーの出店ができるようになった。
④
最近はIT企業を中心に、中小企業から大企業に成長しつつある(ベンチャー)企業も多くある。また、地域の伝統を活用することにより発達してきた(地場)産業も見直されている。
2.農業問題
①
1943年、戦時中に少ない食料を政府が管理して国民に配給するための(食糧管理)制度が始まった。1960年の池田勇人首相による国民(所得倍増)計画により、農家の所得を安定させるため食糧管理制度を改正し、米を政府が高めの価格で農家から買い取ることを約束した。しかし、米を売れば売るほど政府の赤字が増える、いわゆる(逆ザヤ)の状態となった。
②
1961年には国の逆ザヤを解消するため、自立経営農家を育成する(農業基本)法が制定された。しかし、うまくいかず農業以外の仕事のほうが収入の多い(第二種兼業)農家が増えてった。
1970年には、国の逆ザヤを解消のため、(減反)政策が実施され、さらに、各農家がコシヒカリなどの高級米は自主(流通)米として自由に売ってもいいことにして、政府が買い取る米の量を減らそうとした。
③
1987年、(GATT)の(ウルグアイ)・ラウンドと呼ばれる国際会議が開かれ、アメリカは日本に対し農産物輸入の自由化を求めてきた。その結果、1991年には(牛肉)とオレンジの輸入が自由化された。
1995年、米の(ミニマム)・アクセス<最低輸入量>を決めて、米の(部分)的自由化を実施した。同時に食糧管理制度は廃止されて(新食糧)法が制定され、米の販売は原則自由となり、米屋以外のスーパーでも自由に米を売ることができるようになった。
1999年に日本政府は米の(完全自由)化に踏み切った。また、この年に(新農業)基本法<食料・農業・農村基本法>が制定され、大規模な農業会社の運営が認められるようになった。
④
農業が衰退してきた結果、日本の食糧自給率は約(40)%<(カロリー)ベース>になった。さらに、近年では(遺伝子)組み換えの食糧や、(BSE)<狂牛病>にかかった牛肉、鳥インフルエンザにかかった鶏肉の問題や、危険な農薬を使用した農産物が中国から輸入されたことなども問題になってきている。
3.消費者問題
①
(ケネディ)大統領は次の消費者の四つの権利を発表した。
① (安全を)求める権利② (選ぶ)権利
③ (知ら)される権利④ (意見を)聞いてもらう権利
この権利に基づき、日本政府は1968年に消費者(保護)基本法を制定した。
②
1994年には(PL)法<製造物責任法>が制定され、消費者は商品のミスを証明するだけで賠償金を受け取ることができるようになった。2001年には、強引な勧誘や不当な契約は契約解除できることを定めた消費者(契約)法も制定された。また、現在では、訪問販売や路上・電話の勧誘などでの契約は一定期間内であれば無条件に契約解除できる(クーリング)・オフ制度が採用されている。
③
消費者の生活を苦しいものにする要因として、広告によって冷静な判断を失って、つい買わされてしまう(依存)効果や、周りの人たちがその商品を持っているのを見て、つられて買ってしまう(デモンストレーション)効果などがある。また、消費者の需要が増えることで物価が上昇する(ディマンド)プルインフレや企業の生産費の上昇で物価が上昇するコスト(プッシュ)インフレが消費者の生活を苦しいものにする場合がある。
④
被害を受けてしまったときの相談窓口として、国の機関として(国民生活)センター、地方の機関として(消費生活)センターが設置されている。また、消費者が自信の生活を守るため、資金を出し合って、自分たちの生活に必要な商品を購入するために作った企業である消費(生活協同)組合<生協、COOP>という企業もある。